
現状維持バイアスを外して、
一気に成長させる③ステップ

誰にでも良くあると思いますが、何らかの変化を伴うと、ついついネガティブな思考になってしまいがちです。実は、そんな時こそが成長のチャンスなんです...
現状維持バイアスとは
現状維持バイアスとは、「変化を恐れる気持ち」のことです。
人は、
・「変わりたい」
・「成長したい」
と意識していても、無意識・潜在意識のなかでは「現状を変えたくない」と思ってしまっていることがあります。
これが、現状維持バイアスです。
人間がまだ野生の生き物だった頃に獲得した「本能」です。
野生の生き物は、外敵から身を守って生き残るために「いつもと同じ」行動を繰り返す必要があります。
・「いつもと違う水飲み場にいってライオンに出会ってしまったら?」
・「いつもと違う場所に出かけて、食糧を見つけることができなかったら?」
という恐れがあるので、「現状維持バイアス」が設定されたのですね。
本能ですので、意識的に気合や根性で消し去ることが難しい問題なのです。
ついついダイエットを断念してしまうのは、そのためかもしれませんね。
現状維持バイアスの問題点
何かに挑戦することに対して抵抗を感じるのは当たり前のことです。
「今までは家では勉強していなかったけど、明日から塾で毎日3時間勉強しよう!」
というチャレンジに対し、
・「やりたい」
・「やらなきゃ」
という意識はあるものの、ついサボってしまう、ということがおきてしまうわけです。
本能が起こしている行動ですので、意識の部分で変えようと思ってもなかなか難しいのです。
でも、この「現状維持バイアス」を克服しないと、成長は実現できません。
現状維持バイアスの外し方、克服方法
というわけで、現状維持バイアスの外し方・克服方法についてご紹介させていただきます。
①データをとることで現状を客観的に知る
例えば、1週間の時間の使い方をできるだけ具体的に記録します。
そして、先生との面談で一緒に振り返って分析します。
・「こんなに無駄な時間を過ごしているんだ。」
・「少し工夫すれば、目標の勉強時間は達成できるんだ」
という気づきが「無意識」に対して変革を促して、現状維持バイアスを弱めてくれることが期待できます。
【例】
先生:
「記録した時間の使い方を振り返って、どんなことに気が付きますか?」
生徒:
「こんなに無駄な時間を過ごしていたんですね。」
「変わらなきゃいけないと感じました。」
②今挑戦しないと、最悪どうなり得るのかを考える
先ほど見た通り、現状維持バイアスは生き物としての生存のための「本能」です。
したがって、「生存」が脅かされ得るほどの「恐怖」「不安」があれば現状維持バイアスは弱くなると考えられます。
【例】
先生:
「このままの状態で受験を迎えたらどうなるかな?」
生徒:
「今のままでは、どこにも合格しないと思います。」
先生:
「そうすると、どうなるかな?」
生徒:
「一体どうなってしまうんでしょうか...」
(大きな恐怖・不安。現状維持バイアスを打ち消す力がある。よって、変われる。成長できる。)
③まずはクリアできる目標(変化)を設定する
「現状維持」と本能・無意識が錯覚する変化を作れば良い、という考え方です。
先生:
「英単語を覚えるペースだけど、どうしよっか?」
生徒:
「う~ん、よくわかりません。」
先生:
「今まではどうだったの?」
生徒:
「学校の単語テスト前日に100個一気に覚えてました」
先生:
「100個一気におぼえてるんだね。そのときはどんな気持ち」
生徒:
「しんどいです。」
先生:
「じゃあ、毎日いくつくらいだったらいけるかなあ?」
生徒:
「そうですね…。30個くらいじゃないでしょうか?」
先生:
「よし。じゃあ毎日30個覚えてみよう。1週間このペースでやってみて、来週、単語テストや面談の内容次第で毎日の覚える数を変えようね。」
生徒:
「はい、わかりました。頑張ります。」
現状維持バイアスに陥っていると思われる生徒は、このようなコミュニケーションを通じて、無意識のうちに大きく成長することができるようになります。

保護者や先生は、ぜひ上手に現状維持バイアスを外してあげてください。そして、受験生の皆さんは、そのちょっとした変化に「ちょっと嫌だな」と感じた時は、ぜひポジティブにトライしてみてください。